2013年6月20日木曜日

イーコマース企業が世界進出するために必要なこと

インターネットにEコマースと呼ばれるネットショッピング企業が興隆して久しい。そこで興味深い傾向を挙げるとしたら、全てのEコマース企業は、おおよそAmazonのビジネスモデルに酷似していると言えるのではないだろうか。もちろん細かい違いはあるものの、他のネットショッピングサイトは、Amazonモデルのただのコピーに過ぎないとも言えるかもしれない。その機能や商品を売るスタイルなどが他社に真似されているとしたら、先行企業のAmazonにとって、それは大いに恥ずべきことだ。



インドにはFlipkartという有名なネットショッピングサイトがあり、ロシアにはOzonというメジャーなサイトがある。タイ・インドネシア・その他東南アジア市場にはフィリピンのLazadaが君臨している状態だ。Amazonは大手にも関わらず、インド以外の現地ではプレゼンスは無いに等しい。なぜならインドでは外国からの直接投資が厳しく制約されていることからAmazonの営業活動は制限されてしまっているためだ。こうした競合他社の活況を横目で見ながらAmazonとしては、さぞかし、ほぞを噛む思いでいるに違いない。





 アメリカでeBayが興隆してきた時も、アメリカ以外の地域でも同じようなサービスが竹の子の如く各国で立ち上がる現象が起きていた。ネット業界では「ファーストムーバー・アドバンテージ」という先手必勝、早い者勝ちという言葉があるが、このような類似する各社サービスの規模は今では大規模に拡大し、今から反撃するには手遅れであり、取り返しのつかない規模にまで達している。



巷では、ファーストムーバー・アドバンテージとしばしば叫ばれてはいるものの、この言葉だけで説明するには判断が早急で簡単すぎて、納得が出来ない論理ではないかと思われる。
このロジックによると、新たなビジネスモデルを考案した場合、他の国へすぐに同じモデルが波及していくというものだ。
もちろん、いくつかの事例を挙げるとしたら、この説明でも正しいことが分かる。例えば、英語圏であるイギリス、カナダ、オーストラリアでの成功に、ドイツ、日本での成功もカウントできる。
しかしながら、アメリカのイーコマースモデルを、インド、ロシア、インドネシア等に適用してみると、事情は違ってくる。
こうした国々では中産階級の消費者が年々増大しているにもかかわらずAmazonモデルが不調に終わっているのは明白だ。ということは、これら新興国では、別の次元で根本的な課題が存在しているということになる。


ファーストムーバー・アドバンテージでは説明のできない理由として挙げられる理由を下記にまとめてみた。

1.    一般消費者の銀行での新規口座開設率や口座保有率

2.    国民のクレジットカード保有率との関係がある。プラスチックのカード一枚に猜疑心がある。現に、インドのクレジットカード保有率は人口の2%に過ぎないし、ベトナムではキャッシュ・オン・デリバリーにより、ネットショップが成り立っている。ロシアのOzonでは約8割がこのキャッシュ・オン・デリバリー(COD)だ。

3.    また、ロシアやインドの郵便局は全く信用されていない、という配送・ロジスティックシステム自体にも課題がある。また、宅配事業者の参入の余地はあるものの、うまく稼働しているところは少ないのが現状だ。むしろ、自らこうした課題解決を行わなければ事業の成功や進展はないものと考えた方がよい。

4.    1人あたりのGDP(国内総生産)は、インドで$3,900、インドネシアでは$5,000であり、アメリカの$49,800とは比べようがない。

5.    固定電話やブロードバンドといったインフラの整備自体も遅れており、どこでもネット環境があるかと言えばそうでもないという現実がある。こうした地域では、固定電話を引かずにスマートフォンだけを保有してネットへアクセスしていることから、そもそもPCではなくスマートフォンユーザーに絞った、使い易いショッピングサイト作りをしなければならない。

 このような状況を総合的に勘案した場合、現地の消費者に合うような環境を最低限考慮したビジネスモデルをその国に応じて展開する必要があるということだ。


 イーコマース企業が今後、国内だけの領域に留まらず、国際的に事業展開していこうとする時に考えられることは、自身で事業以外の領域をもカバーするように資本を投下して自身の手で収益化を図ることだ。
ただし自国と同じ環境が備わっている場合は上手くいくかもしれないが、文化・宗教の違いがある場合、DIYで実行すると、しばしば失敗するであろう。
 もう一つは、全く逆の視点から考えることである。それが現地人の好みや考え方、その文化に至る消費者意識や行動を理解している立場からのアプローチする方法である。これが正に、現地のコピーキャット企業の視点になる。
 Amazonと同じビジネスを自国で展開する、という思いでネットショップとして起業するにあたり、彼らは単にそのまま真似をして、コピーしているという訳ではなく、自国のニーズや意識に合ったショッピングサイトに改良しているため、大きく成長するドライバーになっているためだ。

 ロシアの有名なOzonでは、アメリカのZapposの顧客満足主義戦略の一部を取り入れ、コールセンターの電話番号を各ページに記載したり、CODによる支払い機能を持つO-Courierという配送業者を取り込んで差別化を果たしている。
 更には、旅行領域にまで手を広げ、Ozonトラベルを立ち上げており、ここには楽天からの出資も含まれている。

 O-Courier(オークーリエ: 代引き配達サービス)


OZON Travelのトップページ画像

 アメリカのeBayはドイツのAlando、欧州のiBazar、韓国のInternet Auction、インドのBazeeをそれぞれ買収している。買収後は郷に入れば郷に従うように、現地の特徴を生かし続けた戦略を取り続けている。ローカルサイトを残すことや、現地のマーケティングアプローチを尊重すること、マネジメントチームを残す、というポリシーで運営を継続している。

 もう1つ、eBayは経営統合のメリットとして国際的な側面も強調することも忘れてはいない。売主が商品を出品したら、海外のマーケットで海外のバイヤーの目に留まるということになり、商機が向上するということで、大きなアピールポイントとなっている。このメリットは自国内だけで営業を続けてきたローカルショッピングサイトにとって、海外進出も兼ねることができるため、非常に大きな魅力があると言える。

 よって、ビジネスが成り立つ為の環境基盤の整備、環境がない場合は代替サービスを導入することで、現地に受け入れられるビジネスモデルとして現地のスタイルに合った施策を上手く用いながら市場に浸透していくことが重要になるであろう。


By秋山尊謙

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